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銀二貫

時間がないとか疲労困憊とか言いつつ本を読んでいます。
本は良いです。読み始めた途端に異次元へのショートトリップが始まるかんじで現実逃避にもってこい。ここしばらく精神的にしんどい日々が続いているので(慣れない上に苦手な仕事)、本を読んで精神を健全に保とう作戦でありますよ。

最近読んだのは髙田郁の「銀二貫」
偶然の流れから銀二貫で命を救われ、大坂の寒天問屋の丁稚奉公を始めた少年の物語。いわゆる人情もので、要所要所で泣かせにきます。基本的に私はそういうあざとさは好きじゃなくて、ぐいぐい来られると気持ちが萎えてしまうことも多いのですが、髙田郁作品はどういう訳か泣いてしまうんですねー。こんな安直な!ちくしょうめ!(江戸っ子っぽくお願いします)と思いつつも目が真っ赤。ランチを食べながら読んでたんですが、お店で泣きながら読むのはさすがに恥ずかしかった。が、出てくるんだもん仕方ないよね!やはり書き手の心根の素直さというか美しさというか作品に対する愛情というか、そういった思いを込めて丁寧に作られたお話には弱いです。
登場人物たちの感情表現なんかがちょっとオーバーじゃないか…と思ったりするし、著者がもともと漫画原作者の影響か、ライトノベルっぽいテイストで文章に厚みがないなーとは思うんだけど、しかしその漫画的な軽さや表現は、良さを全く損なっていない。むしろ読みやすく軽妙な文章が、江戸時代の生き生きとした生活風景を感じさせてくれる。おそらくその取っ付きやすさが作品の魅力であり、作品全体に漂う瑞々しさの一要因なのだなーと感じています。

陳腐な言い方だけど、心地よい涙を流したい人にはとてもおすすめ。
最後の方、涙ながらに読んだけど、ラストの会話でもうね…涙腺決壊とはこのことか!って思ったもんね。
心洗われる、良いお話です。

 

 

銀二貫 (幻冬舎時代小説文庫)

銀二貫 (幻冬舎時代小説文庫)