独断と偏見で選ぶオススメ本10作 中学生編

三十代も半ばの私がまさに独断と偏見で選ぶシリーズ、今回は多感な中学生に向けて。

思い返せば私が中学生の頃はとにかく生意気盛りで常に理屈っぽかったような。理詰めでカチカチになることで、大人をやりこめたような気がして悦に入ってたのですね。今考えれば頭でっかちで柔軟性がなく、単なる自意識過剰だったのですが…。しかしこういうのは誰しも経験する通過点(当事者は自分だけって思うんだよね!これがまた!)。この時期どういう心と身体、頭の使い方をするかでいろんな事が大きく変わるので、色んな価値観を知って自分の頭で考える訓練をしてほしいなあ、と老婆心ながら思います。

 

いまを生きる (新潮文庫)

いまを生きる (新潮文庫)

 
さて、こちらは超名作。古い作品ですが、少年期のピュアな気持ち、頭の固い大人たち、古い価値観などなどが描かれています。とにかく先生が素晴らしい。ロビン・ウィリアムズ主演の映画版もおすすめ。

 

いちご同盟 (集英社文庫)

いちご同盟 (集英社文庫)

 
こちらも名作。できれば15歳までに、特にピアノか野球をやっている子に読んでほしい。ものすごくピュアで、ものすごく切ない話。私はこれを読んでえらく影響され、14歳くらいの時にラヴェルの亡き王女のためのパヴァーヌを教えてもらいました。当時版権がまだ切れてなかったから、楽譜がものすごく高かった思い出。

 

放課後の音符(キイノート) (新潮文庫)

放課後の音符(キイノート) (新潮文庫)

 
多感なお年頃の全女子に読んでいただきたい永遠の乙女のバイブル。これは何がなくとも読むべき必読書です。高校生の女の子の恋愛模様。中学生がこれを読んで背伸び気分になったら素敵だなーと。かなり前の作品なので古くさいかもしれないけど、これを大人はヴィンテージと呼ぶのだよ。そんな作品。この本も影響されて香水「ミル」の香りを確かめに行った記憶が。

 

4TEEN (新潮文庫)

4TEEN (新潮文庫)

 
こちらは主人公たちが中学生ですね。ライトノベル的な文体なので読みやすいと思います。内容の瑞々しさたるや!大人が読むとノスタルジーを感じてしまうのだけど、中学生はぜひリアルタイムでいろんなことを共感してほしい。石田衣良作品は他にもいいものがたくさんあるので、気に入ったらぜひ池袋ウエストゲートパークシリーズへ。

 

14歳 (幻冬舎よしもと文庫)

14歳 (幻冬舎よしもと文庫)

 
こちらはさっきと変わって内にこもるタイプの14才のお話。タレントさんの本はけっこうあるけど、これはあんまり宣伝されないけどすごくいいと思う。荒々しさとか刺々しさとか、自分でも持て余してしまう感情の動きが良く出ていると思います。中学生ならもっとぐっとくるのではないかと。

 

楽園 (新潮文庫)

楽園 (新潮文庫)

 
ファンタジー大作です。鈴木光司といえばリングシリーズが有名ですが、この作品も素晴らしいです。壮大な歴史ロマン。やっぱり今の子は良質ファンタジーに恵まれててうらやましいなあ。

 

後宮小説 (新潮文庫)

後宮小説 (新潮文庫)

 
こちらもファンタジー。架空の中国王朝を舞台にした話なんですが、べらぼうに面白いです。作者の酒見賢一さんは中国史を専攻していた方なんだけど、20代前半でこれを書いているのよね。天才だ…。ハラハラドキドキ、恋あり冒険ありの素晴らしい作品。「雲のように風のように」というタイトルでアニメ映画化もされています。それも面白いよ!

 

蹴りたい背中 (河出文庫)

蹴りたい背中 (河出文庫)

 
19歳で芥川賞をとった作品。彼女も天才ですね。特にオチがあるわけでも、大きな展開があるわけでもない話ですが、思春期のモヤモヤをこんなにも描けるとは。しかもこれ書いた時本人も思春期じゃん、と。純文学なので好みが分かれるところですが、おすすめ。

 

神様のカルテ (小学館文庫)

神様のカルテ (小学館文庫)

 
こちらは映画化もされてて有名ですね。良きお話です。軽いタッチの文体なので、あんまり期待せず読んだのだけど、まんまと涙してしまった私です。汚れっちまった大人の私は、こういうピュアな話を立て続けに読むとつらくなるのですが、中学生はピュアなのだからぜひこういう素敵な小説にたくさん触れてください。

 

文鳥・夢十夜 (新潮文庫)

文鳥・夢十夜 (新潮文庫)

 
夏目漱石って「吾輩は猫である」から読むからつまらないんだよー!と思うのは私だけ?猫がひたすら家庭のゴタゴタを眺めてる作品なんて、猫村さんを読む方がよっぽど楽しい。中学生向けファースト漱石は、私的には「夢十夜」!!。漱石作品の中でも異色ではありますが、本当に美しい作品だと思います。全体も短いし短編集だから読みやすいし。いっしょに収録されている「文鳥」もなかなかロマッチックです。あと、オススメなのは「坊ちゃん」ね。
読書って人生に必須ではないのだけど、本を楽しめるってことは、人生でひとつ楽しみが増えるということなので、なかなか良いものだと思います。
興味があったら是非読んでみてください。偉そうでごめんねー!