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「6才のボクが大人になるまで」瞬間の積み重ねこそ人生 (前ブログより)

先日のアカデミー賞で、個人的に作品賞をとってほしかった「6才のボクが大人になるまで」。これねー、本当に、ひとつタイミングが違えば完成しなかった映画なので、非常に希有な作品だと思うんです。12年分の家族の様子だけでなく、アメリカの歴史もちゃんと当時のものが凝縮されているし、そういうものをひとつなぎにして1本のドキュメンタリーじゃない映画になっているっていうのがね。しかも主人公は子供だもん。「北の国から」「天までとどけ」と同じでしょ?って言われちゃうと確かにそうなんだけどさ…。(あれも凄いドラマよね!)

そんな訳で、それを押しのけて作品賞と監督賞をとった「バードマン」、本当にすごい作品なんだろうな…?と期待しているんですけども。

「6才のボク…」は助演女優賞だけだもんなー。まあでも、パトリシア・アークエットがかつてトゥルーロマンスでお色気たっぷりの美女路線だったことを考えると、12年かけて老いて行く女性のリアルな姿をまざまざと晒した勇気には感服します。だって、普通の人ならいざ知らず、女優さんだもんね。
男選びには難アリだけど、自分のキャリアを諦めずに、かつしっかりと2人の子供を育てるたくましく勇敢な女性。素晴らしかった。

ということで、こちらも過去ブログからひっぱってきたレビューです。

☆☆☆☆☆

観た映画は記録しておきたいということで、またも映画レビューです。
「6才のボクが、大人になるまで。」

タイトルのとおり、6才の男の子メイソンが18才になるまでの12年間を描いた作品です。

まず、声を大にして言いたいのが、上映館が少なすぎるということですよ!!!!!
すばらしい良作であるにも関わらず、上映館が少ないのは、出演陣に派手な人がいないからかしら。いや、イーサン・ホーク出てるし!それとも上映時間が3時間近いから…?確かにお尻は痛くなったけども。

まあでもなんにせよ、良作であるには変わりなし。
特に、小さいお子さんがいるお父さんお母さん、男の子を育てたことがある親御さん、かつて男の子だった大人の男性、かつての男の子の友人や恋人や奥さん…ええ、すべての大人にオススメの作品だと思いましたですよ。
12年の一瞬一瞬を丁寧に切り取ってギュッと凝縮した、とても美しい作品です。

メイソンの家族構成は、お姉ちゃん、お母さん、お父さん。(このふたりがものすごく良い!)
若くして結婚出産した母親は、子供が小さいうちに離婚。父親はどうやら夢見がちでフラフラしているようで、愛想を尽かしたのだと思われます。だからといって子供たちは父親のことも好きだし、父親も子供たちが大好き。小さい子を抱えて懸命に働く母親は、ある日一念発起して大学に入り直すことにして…というのが、さわりの部分です。

この映画の最大の特徴は、主要キャストをちゃんと12年間追っているところですね。
それでいて、ドキュメンタリーではなくちゃんと映画作品になっている。
12年の間に、誰か病気や事故で亡くなったり、事件を起こしたりしたら頓挫してしまうことを考えると、複数人をちゃんと12年追えるなんて奇跡的だなーと思うのです。
ましてや主役は6歳男子なので、途中でやる気を無くしたり、犯罪に走ったりするかもしれないじゃないですか。本人はそうでなくても親の都合でとんでもないことになっちゃったりね。

映画内では家庭のゴタゴタはありつつも、大きな起伏はありません。
あどけない6才の男の子が大きくなってきてなんだかよそよそしくなったり、髪を伸ばしてボソボソしゃべるようになったり、まあリアルなことよ(笑)そのあたりは、かつて男の子だった人や、男の子を育てた方はなおのこと感慨深いのではないかと。
髪を切られて「学校行きたくない!」ってとこを無理に連れて行かれて、周りにクスクス笑われて余計に嫌になっちゃうんだけど、クラスの女の子に「その髪形いいね」と言われた途端にニヤニヤしちゃう感じとかね。
男子って……!

そんな普遍的な男子の日常が描かれつつも、舞台はやはりアメリカ。
離婚した父親が週末は子供たちと過ごすとか(それを元妻や再婚相手も容認)、オバマ政権誕生時の盛り上がりとか、イラクに派遣された元米軍の体験談を聞けたりとか、この12年間のアメリカの持つ空気を感じることができます。
そして銃社会ね。プレゼントは代々受け継がれたライフルだよ!とかね。これはテキサスあるあるらしいんですが。

私が感銘を受けたのは、大人が子供に対して常に対話を望むということでしょうか。
人とのコミュニケーションの手段として、言葉を交わすということを非常に重視してるという印象。
父親が、思春期であまり自分のことを詳しく話したがらない子供たちに「普通の会話をしようよ!」って言うんですよね。
「質問攻めにされたってさー」みたいなことを言われちゃうんだけど、自分の考えてることを話す、伝える能力を非常に重んじてるんだなーと。意見交換に躊躇が無い、というか、たとえ子供でも意見を持たなくてはいけないくらいの勢いです。
そんな国民性や子供への接し方は、見習うところが多いなーと思った次第。

あと、引っ越し先に来た移民の配管業者に母親が「あなた、賢そうだから学校に行きなさいよ。夜間で学費の安いところもあるわよ」って声をかけるシーンがあるんですが、やっぱり教育ってだいじだなーとしみじみ。
後日談もあり、これはとてもいいエピソードでした。

子供と同じく、親も年を重ねていきます。
母親も父親も、はじめはおそらく20代後半か30代前半くらい。
非常に若々しいのがだんだんと老けていって、体型も変われば皺も増えるし白髪も出てくる。時の流れの残酷さもまざまざと感じさせられるんだけど、やはり本当に本人が年を重ねているんだから説得力が違う。

ああ、それにしても、メイソンが大人になっていく過程で、顔立ちががゴリラテイストに傾くときがあってすごく心配したんだけど、ちゃんとキッチリ素敵な青年に軌道修正しておりました。ああよかった〜。このあたりも説得力ありまくり。ヒヤヒヤしました。

「この瞬間を大事にって言うじゃない?でも瞬間瞬間ってすぐ過ぎ去っていくよねー」(すみませんうろ覚え)みたいな会話がなされるんですが、ほんとうにその通り。
どんなに大切な一瞬も、文字通り一瞬で過ぎて過去になってしまう。そして、その大切な一瞬の積み重ねが人生であると。
それをギュッと濃縮したのが、この映画。

うーん、観たときもいい映画だなって思ったんですが、こうして思い返すとやっぱりしみじみいい映画だな。
いくらでも感想が出てくる。素晴らしい作品です。

☆☆☆☆☆

アカデミー効果だと思うんですが、上映館もだいぶ増えたみたいですね。
長いのでお尻は痛くなりますが、本当にいい映画なので、ぜひ観てほしいです。特に男の子のいるご家庭は。
そして若かりしパトリシア・アークエットがめちゃくちゃに可愛い「トゥルー・ロマンス」もすごくすごくキュートで面白い映画なので、ぜひ観てください。年末にリバイバル上映をやっていて観に行ったのですが、今観ても本当に面白かった。そして今観るとわかる豪華な俳優陣!!!ブラピのあんな贅沢な使い方があるかしら。しかも超はまり役だし。おすすめおすすめ!!

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