出生前診断と胎児ドックについて

相変わらずつわり収まらずでしんどいしんどい。
私の具合の悪さを見ているなべおさん、初期の妊婦さんはお腹が出てなくても超絶具合悪いことがあると思い知ったらしく、電車でマタニティマークを見かけたら席を譲っているそうです。
私のつわりもこうして人の役に立っているので無駄ではないのかも…それでもつらいのは変わらないけど。

そんな中、出生前診断のために胎児ドック(スクリーニング)専門の病院に行ってきました。付き添いがないと通院すら危うい私。なべおさんの休みが取れて良かった…

きっかけは、8週の段階で、流産の可能性があると指摘されたこと(むくみが見られると言われた)。育っても染色体異常の可能性があるし、羊水検査をした方がいいかも、と言われたのですね。
私の産む病院は高齢妊娠の場合の羊水検査を推奨しているのだけど、お腹に針を刺す検査は怖いでござるよ、というのと、先天性の疾患は染色体異常以外にもあるし、それも調べられたらなーと専門の病院に相談した次第。

結論から言うと、受けて良かったです。とても。
私が受けた病院では何種類かの検査があり、初期に受けられる血清マーカーテスト(血液検査)+超音波検査の2つの結果で疾患の可能性をみる検査を受けました。
で、検査の前に遺伝カウンセラーの方とお話する時間が設けられるのですが、このお話が私にとってはとても有意義で、検査はともかくとして、ここで色々相談できたことが、私にもなべおさんにも本当に助けになりました。

今回の検査にあたり、いちばん気がかりだったのは、やはり染色体異常。
身近にそういう障害を持っている人がいないし、そもそもどういう障害なのかがよくわかっていないけど、治療でどうこうできないことだけはわかる。あくまで可能性として言われたのだけど、こちらとしては気が気ではない訳で、かなり悩みました。
まずなべおさんと話したことは、
・経済的、精神的負担を考えたら、自分たちには育てるのは無理ではないか?
・自分たちが先に死んでしまったら、その子は生きていけるだろうか?
ということ。


それについて、カウンセラーの先生いわく
・13トリソミー、19トリソミーの場合は、重篤な障害なので、殆どの場合1年生きるのが難しい。
・21トリソミー(ダウン症)は、染色体異常の中では軽微な障害。出生時に合併症がある場合もあるが、殆どが手術で治る。
ダウン症の場合、発達はかなりゆっくり。最終的には10歳前後の知能まで発達し、寿命は60歳くらい。
・育てるにあたり特別なことは必要なく、首都圏の保育園入所率はほぼ100%、共働き家庭も多い。
・知能障害や外見の違いはあるが、10歳前後の子供と同じように身の回りのことは自分で出来るし、個々の適性と教育で就業も可能。
・20歳を過ぎると障害年金が出るので、就業不可の場合や万一保護者が亡くなっても、そこから生活費を出して施設で生活することができる。

私が思うに、上記を知らずに産まない選択をする人も多いのではないかと。
実際に障害を持つ子を育てるのは綺麗事では済まないし、産む前も産んだ後も葛藤があるのだと思うので、どちらの選択も善悪で決めつけられないのだけど、知ることで目の前が開ける人もたくさんいるんじゃないかな。
出生前診断の賛否はいろいろあれど、事前にわかっていることで出来ることはたくさんあるし、無知による誤解も減らせるだろうし。

あと、これは個人的な気持ちですが、エコーでお腹の子が生きているのを見てしまうと、なかなかドライな気持ちで決断は下せないものです…
私は心拍が確認できた直後に「だけど…」と言われて、かなり辛かった。特に希望せずに妊娠した私ですらそうなのだから、欲しくて欲しくて授かった人の苦悩は想像に余るものがあります。ましてや羊水検査などは胎児がある程度動くようになってから行われるので、そこで障害が告げられたら、それこそ我が身を引き裂かれるような苦悩と葛藤があるのではないかと。
だから、どんな決断をするにせよ、正しい情報と知識を得るって大事だと思います。それが親の責任でもあるし、場合によっては救いにもなるだろうし。

今回、幸いなこと(?)に検査結果は特に問題無し。血清マーカーでも超音波でも気がかりな所見はなく、羊水検査は受けないつもり。
もちろん、結果は100%ではないし、検査でわからないこともあるので、最終的には出たとこ勝負になってしまうのだけど。

今回の一件で、生まれる子の疾患についてはすごく考えさせられました。
私がさっくりと「障害があった場合」の決意を固められなかったように、他の親御さんにも葛藤があって、それは単なる親のエゴだけでなく、自分が親になることが子の幸せにつながるのだろうか? という苦悩でもあるだろうし。
障害と人としての優劣は別物だと思っても、ハンディキャップがあるのは事実で、そこをカバーすることができるのか? とか。
はたまた、生まれたときに健常児でも、事故や病気で大きな障害を抱えることもあるわけで、そうなったときに子を手放そうと思うだろうか? とか。
産みたいと望む親であれば、おそらくは皆、子が心身ともに健やかに幸せに育って欲しいと望むだろうから、その葛藤を経ての決断には、第三者が簡単に口出しできるものではないなあと。

だからこそ、遺伝カウンセラーなどの専門家と話す機会があると、本当にいいと思うんですよね。
障害っていっても、重篤なものから軽微なものまであるし、アレルギー体質とかの心配や、逆に全く気にもしてなかった遺伝性疾患の可能性もあるかもしれない。何かあったときにできる事前準備やケアの方法、サポートしてくれる仕組みの知識は、周知されていないものも多いから。
検査自体を受けない場合も、そういうカウンセリングの機会が全ての妊婦さんに設けられるといいなーと切に思いました。

ちなみに、染色体異常が起こる仕組みについても教えてもらいました。
2つで1対の染色体は卵子精子それぞれが1つずつに分裂し(減数分裂)、受精時に新たな1対となるのですが、最初の分裂時にミスが起こるそうです(21番染色体が2本とも含まれちゃうとか)。
その割合は6〜7割とかなりの高確率というのが最近になってわかったそうで、その殆どが着床しなかったり流産したり自然淘汰され、出産まで至るのは本当にごくわずかとのこと。

そう考えると、月並みな言い方だけど、人がこの世に生を受けるというのは、やっぱりひとつの奇跡なのだな、と。
あとあれですね、最初の分裂で7割とか間違うんだから、人間ってやっぱりミスするように出来るんだな…。何するにもミスはあって当然だって考えて行動しないとダメだな。過信、いくない。しかし6〜7割とか間違いすぎだろ。

しかし、こういう出生前診断はいずれ胎児のうちから疾患を治療するという出生前治療につながるのだろうし、そのうち赤ちゃんは母体じゃなくても育つようになるかもしれないですよね。外側から目視で確認して、手術や治療をしちゃうの。重度の心臓疾患なんかだって、IPS細胞で胎児の臓器を作って、出生後すぐ移植とか出来るようになるのかも。
母体の外で育つなら、母体が原因の流産の率も減るし、異変にもいち早く気づいて対処できるかもしれない。つわりがないのは楽だしな〜
(倫理的な問題はあるだろうけどね。)
医療ってすごいなーとしみじみ感じたのでした。