働けど働けど、しかし働き続ける話

今の会社に入ってもうすぐ丸3年。
3月に入って就活戦線がスタートした、なんてニュースを見て、大学生ってまだリクルートスーツに身を包んで就職活動に勤しんでいるのか…私の時代(15年くらい前)と変わらないってすごいな…と衝撃を受けたのですが、まあ私は就職活動をほとんどしなかった(というか脱落した)人間なので、それでも一応仕事はやっているよ、という話。

私の場合、学生のうちに紹介で在宅バイトを始め、その流れでアルバイト社員となり、卒業後フルタイムでバイトのまま働き、退職したのち派遣社員として働き、いくつかプロジェクトを経験した後に正社員として働き始めたものの過労で倒れしばし休職(今思えばブラックな会社と言えるかも)、復帰しても心と体がすり減りにすり減って退職し、しばらくぼんやりした後に今の職場に正社員として落ち着いた、という感じ。
今考えてみると最初のバイトと派遣先が、ひとつの案件のサブリーダーくらいまで任せてくれたり、ちゃんと名刺を持ってお客さんとやり取りをさせてくれたりと、ある程度の裁量を持って仕事をするのを許してくれたのがありがたかったです。その後の正社員生活でも激務なりに色々経験はしたので、体は壊したけど無駄ではなかった…とはいえ、体を壊した反動はものすごくて、すさまじい時間のロスが生じたので、やはり体は大事にした方がいいと思います。特に女性は仕事が軌道に乗る時期と妊娠出産適齢期が重なるので…。結婚は体力無くても病気でもできますが、妊娠出産はある程度健康が前提だからね。出産後は育児もあるし。

私の職場では、子供がいる家庭でも夫婦共働き率が高く、おそらくそれは都内に住んでいる人が多いという事情があるかと思うんですが(実家近辺は専業主婦率がわりと高い)、おそらく私も子ができたとしても働き続けると思います。
個人的な肌感覚だけども、今、ちょうど、夫が稼ぎ頭が主流→夫婦共働きの二本柱という変化の過渡期だと思っていて、10年後には子供がいても夫婦フルタイムが主流となっているのではないかと。制度的な問題もあり、女性が男性と同等の賃金を得るのは相当難しい(そもそも子がいると長時間勤務ができない、というか保育園すら足りてないから長時間勤務ができるわけない。いや、そもそも長時間勤務ってどうなのそれ。)ので金額的な平等は実現しづらいにしても、少なくとも団塊の世代のように男性がひとりでガンガン稼ぐということが難しくなると思うので、必然的に妻も稼がねばならぬ、という風潮になると思っています。
というか、妻も働くという流れは、私の子供の頃から既にありました。
私の父親は誰もが知っているような上場企業に勤めていて(もう退職した)、一応管理職であったためにそこそこの稼ぎがありました。母は妊娠して職場を辞め、私と妹ふたりを産み育てる専業主婦でしたが、私が10才くらいからパートを始め、その後パートだったりアルバイトだったり社員だったり、形態を変えつつもずっと働いていました。母が勤めに出だした当時、私の周りでは働いているお母さんは少数派だったのだけど、私が高校に入る頃には、周りのお母さんの多くがパートに出ていました。多分それは、子供の学費がかかるからだったと思うのですが、私が住んでいた新興住宅地はプチお金持ちが多く(パイロットやお医者さんが多かった)、おそらく夫の稼ぎはうちの父親より多かったであろう、が、それでもパートに出て子供の塾代や受験代を捻出する家庭は多かったです。というか、世帯年収が税込み1000万程度じゃたとえ扶養控除やらなんやらがあったとしても、子供を2人とか3人とか大学卒業まで養うのは難しいんだと思います。いや、出来ない事はないんだろうけど、塾に行かせたいな、私立を受験させたいな、留学させたいな、なんて時に我慢を強いられることになる。教育熱心な地域だったので、そういう我慢をするくらいなら働こう、という家庭が多かったのだと推測しています。

今は当時より諸物価も税金も学費も上がっているので、手取額はもっと減っているだろうし、そもそも団塊の世代のようにお給料が上がって行く見込みもない。子供には母親が必要だとか妻は家庭を守るのが仕事とか色んな意見がありますが、そんな意見なんて通用しない現実になっていく、というのが私の見方。
加えて、私の母は私が17才のときに離婚をしているのですが、その後本当に仕事には苦労していました。考えてみれは当然なんだけど、育児で長い長いブランクがあった上、退職した後はずっと専業主婦でいるつもりだったから、働く事には長く興味がなかった。その上専門分野があるわけでもなく、経験を積んで資格を取っても年齢的に応募できる職場が限られている。当然ながらブランク明けは年を取った新人的な扱いになる訳で、お給料だって新入社員程度。田舎だったので給与水準も低かったです。一方父は新卒からずっと働いている会社で時代の助けもあり着々と給料が上がり、転勤があるとか大変なことはあったものの、ちゃんと定年まで勤め上げて、退職金ももらってそこそこの暮らし。(子の学費がかかりまくったので悠々自適とまではいかないようですが)
そんな二人を見てきたので、やはり自活できる経済力、もしくはいつでも働くという心構えというのは男女問わず必須項目だと思って今に至ります。

ときたま働くのがつらくなって、このまま働き続けて老いてゆくのか…何のために生きているのだろう…このままでいいの私……なんて思ったりするのですが、このままで良いも何も、働かないと生きて行く事すらできなくなるからなーと思い直す。一時的に働かないで貯金を切り崩す、それもアリだと思うけれども、それはあくまで一時的なこと。いつかは働かなくちゃ食って行けなくなるし、働きたくないのであれば不労所得を得なくちゃいけないですよね。例えば親の遺産で株の配当金とか家賃収入が毎月貯金できるくらいあるなら別なんだろうけど。

という訳で今就職活動をしている人も、何らかの事情で仕事をしていない人も、おそらくは専業主婦になったりずっと働かないでいられる可能性は限りなく低い。もちろん可能性が無い訳じゃないけど、その可能性に賭けて自分の経済力を捨てるのもバカな話だと私は思う。そう考えたら、どんな仕事をするべきかっていうのは自ずと見えて来るのではないでしょうか。それは、職種とか働き方という狭い話ではなくて、自分の生き方にどう仕事を合わせるかという大きな話。ひとつのところで働き続けるも良し、人生のいろんな局面で働き方を変えるも良し。しかし働く自分はひとりなのだから、常に自分は働き続ける、つまり社会と繋がっているんだという意識をもって生活していないと今後食って行くのは難しいんじゃないかなーというのが私の考えです。
そしてもうひとつ、今の職場や職種に固執せずに違う場所でも食って行ける自分を形成していかなければならないなーというのも痛感しているところ。私は今のところわりと安定した会社に勤めているのだけど、色んな数字を見ると、いつ何があるかわかんないなーと思うので、やはりいざという時に会社には頼れないなー。というか、食って行くために稼ぐという点では、最終的に自分しか頼れないです。

そんなこともあり、大学生はもちろんのこと、今働いている人もいない人も、これからの働き方を考えた方がいいと思う。お金だけが人生ではないけれど、経済力がもたらす効果っていうのは思いのほか大きくて、心身の安定に直結します。
働かないと生きられないって世知辛い世の中だよね。でも、働いてお金を稼ぐことで得られる自由って確実にあるからね。
例えば、私は今、趣味を兼ねて副業をやっていますが、全くお金にならない…というか、経費ばっかりかかって大赤字なんですが、今勤めている会社からの給与があるからそういう将来への投資という博打ができるんですね。副業のせいで色々困窮することもあるのだけど、続ける自由を得ているわけです。

しんどい時もそれなりにありますが、今日も明日もあさっても、身を粉にして働く私であります。
(でも体は壊さないように気をつけるよ!)